introduction example 導入事例

01 各種治具の製造
3Dプリンターの活用場面で多いのが『治具』の製造です。
例えば、ある建設機械用鋳造部品加工業さまでは鋳造品の穴あけ後加工の際に鋳造品に傷がつくことがないようにと、これまで鋳造品の外側に厚手のフィルムシートを押し付け、それでカバーを作って加工していました。
しかしその方法では、カバーが製品15個くらいに穴をあけると損傷してしまいそのたび毎に交換せねばならず、24時間交代制の工場内にフィルムカバーを作る専門係りがずっと貼りついていなければならないという状況でした。
そこでそのカバーを3Dプリンターで作ったプラスチック製のものに置き換える検討がされた結果、3Dプリンター製のカバーであれば、鋳造品約130個程度の穴あけ加工に使用できることがわかりました。

その工場では約130個程度の鋳造品の穴あけ加工を行うのに1~2日程度で終わってしまうため、年間で150〜200個程度のカバー制作が必要となりますが、そのくらい数のプラスチック部品ですと金型を作って成型するには数が中途半端で金型代の出どころがない上に、製品の種類も複数あったり、形状の変更もあるため、金型なしで臨機応変に対応できる3Dプリンターで治具を作ることになりました。

このような金型を作ることはできない程度、しかしある程度の数が必要な小ロットのプラスチック製品であったり、その中でも特に実製品ほどの表面精度が要求されない治具の製造などには3Dプリンターはとても相性がいいと思います。
02 食品機械のための試作
練り製品を製造する機械を作っているメーカーさんでの事例。こちらでは練り製品を押出成形する機械を作っています。

その中に、筒の中に食品を入れ、ところてんのような要領で押し出して成型する機構の機械がありますが、先端部にある格子状の開口部の部材の厚みが10mmほどあるため、これまでですとこの10mmの厚みの中に材料が残ってしまい押し出せなくてロスになるため、押し出す側にも10mmの突起を付けて押し出せば、無駄なく材料が使えそうだと考えました。

しかしながら本当にそのような形状でうまく押し出せるのか、そもそも図面上ではうまくいくとしても、機械が動作するときに微妙な振動がある状態でしかも実際に食品が入った状態で開口部と突起部がうまく組み合わさるのか、スムーズに押し出せて材料が残らないようにするにはどのくらいの公差が必要なのかなど実際にモックアップを作って試してみることが必要でした。

このような場合に3Dプリンターはとても便利に活躍します。外部に委託すると数日から1週間くらいかかる試作品が社内で小さなものなら数時間で作れますので、実際に作って試してダメならまた作り直しというサイクルがかなり早くなりますので、製品化までの検証時間が大きく短縮できます。
03 小ロットのパーツ製造
特殊機械を設計製造する会社さまの事例。
この会社の取引先である多店舗展開するパン屋さんでは手作りのサンドウィッチが人気の商品でしたが、最近のサンドウィッチは柔らかいパンにたっぷりの具を挟んだものが多く、従来の包丁でカットすると中身の具材がはみ出してしまいとてもカットしづらく困っていました。

そこでこの特殊機械設計製造会社に柔らかいパンと具材をきれいにカットできる特注の電動ナイフを作ってくれないかという依頼がありました。

とりあえず試作で1台作成し、試してもらったところナイフ自体の性能は問題ないのだが、握りの部分の形状がパートの女性たちの手の大きさや握力により握りやすい人と少し太すぎて疲れてしまう方がいると判明。
すぐに形状を変更し、『細』 『普通』 『太』の3種類のサイズで作り直したところ、何とか合格という評価をいただき、その後すべての店舗の分として40台ほどの追加注文をいただきました。

そしてこの電動ナイフのハンドル(握り)の部分を作ったのが3Dプリンターです。

この製品は市場で一般的に売られるわけでなく、特定の顧客の中で使われる製品であるために、製品自体の表面仕上がりはそれほどの精度が必要なく、また数も40台分と多くもないけれど少なくもないという数量でありつつも、『細』 『普通』 『太』の3種類のバリエーションが必要なため、金型なしで作成できることでコストダウンと設計変更が自由にできる3Dプリンターが充分に活用されました。