インタビュー/湖西地域職業訓練センター様 所長 鈴木勝士様 学院長 三上貴弘様

ユーザーインタビュー

湖西地域職業訓練センター様
インタビュー日:2018年2月7日
湖西地域職業訓練センター 所長 鈴木勝士様 学院長 三上貴弘様
デスクトップ・マニュファクチャリングが
現実のものになると思います。

湖西地域職業訓練センターについて

湖西地域職業訓練センターでは、主に在職者の方を対象とした短期訓練・短期学習を行っています。
在職者の方、つまりお仕事に就かれている方が勤務終了後にこちらへお寄りになり、夜6時から9時の時間帯で各種の学習をされています。
また、夏休み期間中に高校生を対象にした各種の講座なども提供しています。湖西地域職業能力開発協会が運営し、実際の講座は湖西職業能力開発学院が行っています。

講座はパソコン入門、Excel入門、PowerPoint入門といった情報処理系から、基盤基本、製品図面、NC旋盤、CADなどのモノづくり系、仕事の考え方、人の扱い方、改善の仕方などの管理監督系まで幅広く提供しています。
3Dプリンターの講座も「3Dプリンター入門・初級編」として、年に2回行っています。なお、受講者さんは地元の中小企業の在職者の方がほとんどです。製造業の技術系に関わっている方が多いです。

3Dプリンターを導入したきっかけ

センターが3Dプリンターを導入したきっかけですが、湖西市前市長の肝いりです。
3Dプリンターや3DCADがトレンドとなりつつあるので、早い段階で取り入れたらどうだろうという前市長の話からスタートしました。センターの方でも面白いという話になり、導入が決まりました。

3Dプリンターの導入が決まり、機種選定をしたところ、ニンジャボットが候補にあがりました。
ニンジャボットはオープンフレームの構造で、動作を周囲から観察する事が可能です。講座で使う際も、受講者さん達が周りから動作状況を確認できます。
静岡県のメーカーでもあり、メイドインジャパンであるのも魅力的でした。構造もシンプルで使いやすいのも良いと感じました。

3Dプリンターの利用用途

センターにおける3Dプリンターの利用用途ですが、「3Dプリンター入門講座」などでの利用に加え、湖西少年少女発明クラブでも使っています。
湖西少年少女発明クラブは地元の小学校4年生から6年生までの子供達を対象にした湖西市が主催するクラブですが、現在会員50名で運営しています。そのクラブの活動の一環として、昨年10月に「3DCADと3Dプリンター入門講座」を開催しました。
子供達に3DCADを使ってもらい、作ったデータを3Dプリンターで実際に出力してもらいました。

また、湖西少年少女発明クラブや地元の企業などが主催した「青少年科学体験」というイベントでも3Dプリンターを利用しました。
ブースに3Dプリンターを設置し、3DCADからカスタムメードのキーホルダーを3Dプリンターで出力するというデモを行ったのですが、大好評でした。
30名限定でしたが、子供達が長蛇の列を作るほどの人気でした。

3Dプリンターの導入目的

また、センターが3Dプリンターを導入した目的として、地元企業への啓蒙もあります。
ご存知の通り、ITやIoTなどの技術が象徴するように、時代は確実に新技術へシフトしつつあります。
3Dプリンターを見たことがない、使ったことがないという企業に3Dプリンターを紹介し、その可能性を感じてもらいたいという期待もありました。
湖西市は日本でも有数のモノづくりの町として知られていますが、そのモノづくりの町湖西で、3Dプリンターという新たな技術トレンドを生じさせたいという願いもありました。

また、市民を対象としたイベントで3Dプリンターを活用する事も検討しています。詳細はまだ企画中ですが、市民の方が楽しめる、3Dプリンターを実感できるようなイベントを構想中です。
メーカーズラボなどが行っている、3Dプリンターでジュエリーを作るといったようなイベントができたらといいと思います。

ニンジャボットで時計の製造も

3Dプリンター導入についてのセンター利用者の反応

3Dプリンター導入についての当センター利用者の反応ですが、総じて前向きで良好です。
3Dプリンターを知っているという方が多く、実際に使っておられるという方もおられました。センターに設置されたニンジャボットを見て、「3Dプリンターが入ったんだね」とコメントされる方もおられました。
地元の企業の反応も軒並み良好です。湖西市の企業には3Dプリンターを実際に持っているという企業も多いです。

ソフトウェアについて

3Dモデルを作るソフトウェアですが、ソリッドワークスを使っています。
子供向けのイベントでもソリッドワークスを使っています。子供達もイベントなどでソリッドワークスをある程度使いこなしています。モデルをカットしたり、絵を組み合わせたり、自由に使っています。
体験会などではソリッドワークスで3Dモデルのサンプルを事前に作っておいて、それを子供達にカスタマイズしてもらっています。また、スカルプトリスという、使いやすい彫刻モデリングソフトウェアも使っています。

今後の3Dプリンター

今後の3Dプリンターについてですが、3DCADとセットになって進化してゆくと思います。
我々の認識では、まずは3DCADがあり、3DCADの進化に合わせるかたちで3Dプリンターも進化すると思います。
3DCADでデザインしたモデルを、いかに正確に出力できるかがカギになると思います。ソフトとハードが両輪となって進化するイメージです。
3Dプリンターは、旋盤の世界においてNC旋盤が進化したのと同じような形で進化すると思います。

前にセンターの利用者で、子供の壊れた玩具の部品を3Dプリンターで作成した人がおられましたが、そのような事が当たり前になる時代が来ると思います。
必要な3Dモデルをインターネットで入手し、3Dプリンターで作成するという、いわゆるデスクトップ・マニュファクチャリングが現実のものになると思います。

また、3Dスキャナーでペットをスキャンし、3Dプリンターでミニチュアを出力したり、同様に結婚式のお祝い用にカップルのフィギュアを製造したりするといったことが当たり前になると思います。

これから3Dプリンターの導入を検討される方へのアドバイス

これから3Dプリンターの導入を検討される方へのアドバイスですが、サポートがしっかりしたメーカーの製品を選ぶ事が大切だと思います。
データの修正やアドバイスなど、細かくサポートしてくれるメーカーは重宝します。
困った時にすぐに対応してくれるメーカーを選んだ方がいいと思います。

 ニンジャボットでお造りいただいた各種の品々
湖西地域職業訓練センターのホームページ
http://kosai-center.ac.jp/