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インタビュー/おおしま眼科 大島智晃 様

ユーザーインタビュー

インタビューにお応え下さる大島先生
インタビュー日:2018年6月22日
おおしま眼科 大島智晃先生
電子工学の世界でいうところのカット・アンド・トライに
躊躇いがないというのが最大の利点です。

ご自身のお仕事について

私は藤沢市内で眼科クリニックを開業している医師です。診療所ビルの一角で眼科診療を行っています。
クリニック以外では赤十字の仕事や医療法人の理事もしています。

日々の診療以外に開業後も学会での発表や論文を書いています。眼科学と工学の接点になる部分の研究が主です。例を挙げれば、フーリエ変換を利用した画像解析や、数値流体力学を応用した研究があります。

3Dプリンターに出会ったきっかけ

私が3Dプリンターに出会ったきっかけですが、4-5年前に辻堂のショッピングモールで偶然見かけたことです。ショッピングモールの中のある店舗が、3Dプリンターのデモンストレーションを行っていたのです。
3Dプリンターが展示され、使える人がいたら使って下さいという感じでした。
その時はまだ3D CADも使ったことがなく、とりあえず個人的に3Dプリンターについてはそれで終わりでした。3Dプリンターの原理についてはわかりましたが、それを使って何かをしようという風にはなりませんでした。
ただ、3Dプリンターに対する興味はその後も持ち続けていました。

その後、インターネットで3Dプリンターについての情報を集める中、たまたまニンジャボットのホームページを見つけました。
ホームページを見るとショールームもあると書いてある。製品が見られるというので、実際に見に行きました。
製品のデモを見せてもらい、サンプルを出力してもらいました。強度などを確認して、色々なものに使えそうだと思いました。

3Dプリンターを導入した理由

私が3Dプリンターを導入した理由ですが、最大の理由は「色々な事に使えそうだな」といった漠然としたものです。
特に事前に特定の使用法を想定していたわけではありません。とりあえず使ってみて、何ができるのか確かめながら考えるといった、ある意味場当たり的な考えでした。
プラスチック製の小型の部品の修理などにも使えそうだとは考えていましたが、純粋な好奇心というのが正直なところです。

3Dプリンターを導入して、まずはデータをとることから始めました。色々なデータを集め、どういうモノがどういう条件のもとで作れるのか、試行錯誤しました。

ニンジャボットを選んだ理由

ニンジャボットを選んだ理由ですが、まずはショールームで実際の製品が見られたことと、ショールームで3Dプリンターに関する情報が色々と公開されていたことです。
特に、3Dプリンターに関するネガティブな情報も公開されていました。「3Dプリンターで何でもできます」みたいなことは謳ってなく、3Dプリンターには限界があることがしっかりと説明されている。
設定などを調整する事で、できることとできないことも自分で確認できる。であれば、実際に3Dプリンターを買って自分でやってみようと思いました。

また、サポートがしっかりしていそうで、色々と相談に乗ってもらえそうだったこともニンジャボットを選んだ理由です。

3Dプリンターで作ったモノ

試行錯誤の末、何とか3Dプリンターでモノが作れるようになったころ、最初に作ったのがバイクの部品です。
クリニックに勤めていたスタッフがバイクのレースをしていて、エンジンの点火時期調整装置が作れないかと私に相談してきたのです。
バイクの4サイクルエンジンは点火時期を調整することで性能が大きく変わります。そのための部品の土台を3Dプリンターで製造しました。
また、自分のバイク用の無線機やドライブレコーダーの設置用ケース、スマートフォンのホルダーなども3Dプリンターで製造しました。

3Dプリンターで作った点火時期調整装置用カバー

3Dプリンターで作った点火時期調整装置用カバー

3Dプリンターで作った点火時期調整装置用カバー

3Dプリンターを導入して得られたメリット

自分はバイクと電子工作が趣味です。何かを製作しても、今までであれば既製品の金属ケースを購入し、必要に応じて穴開け加工などをして使うしかありませんでした。
プラスチックケースの場合でも同様です。これは非常に手間のかかる作業で、見た目を美しく作るのは至難の技です。

しかし、3Dプリンターはその作業をなくしてくれました。何かを作ろうとするとき、その回路量がどの程度になるのか、スイッチやボリュームなどをいくつ付けるのか、表示は何を使うのか、それらの大きさや配置は等々。
それらを全て見積もってからケースを購入する必要があります。そして穴を開ける作業と平行して、回路をケース内に収まる大きさに作らなければなりません。
しかし、3Dプリンターを導入してからは先ず回路を作ってしまいます。出来上がってしまった物に合わせて箱や架台を用意すれば良いのです。回路の大きさや形状への制限が少なくなります。

特にバイク用の部品を作るときは取り付け場所に収まる大きさにさえ作っておけば、後はどうにでもなります。
電子工学の世界でいうところのカット・アンド・トライに躊躇いがないというのが最大の利点です。
作ってみて修正点が見つかれば3D CADに修正をかけて再度作成すれば良いのです。何度作り直しても構わない。これは最大のメリットです。

一方で問題点もあります。出来上がった物の強度が十分に得られないことと、経年変化に弱いことを理解しておく必要があります。
しかし、強度が弱く、破損しやすかったとしてもパソコンに残したデータで何時でも同じ物が作れます。
交換修理が簡単にできるので、破損や経年変化の問題は十分に軽減出来ています。

3Dプリンターが抱える課題

3Dプリンターが抱える課題ですが、何といっても導入のハードルが高すぎます。ひとまず動かしてみようということが出来ません。
しかも購入した後もあらゆる準備が必要です。3D CADに始まり、スライサーやプリントプログラムも必要です。
好みの物を自由に使えると言えば聞こえが良いですが、ダウンロードを含めて、自分で用意しなければならないものが多すぎます。最初の試作をするまでに、私も相当の試行錯誤を余儀なくされました。

昭和の時代のオーディオには視聴用レコードやカセットが付いていました。ユーザーが全くの素人で、しかも何の準備もなくても、製品だけ購入すればその場からその製品を楽しむことが出来ました。
3Dプリンターにも同じような発想が必要だと思います。

例えば、ユーザーはパソコンだけ用意して、フィラメントなどの必要なものがすべて同梱されたセットになっている。サンプルの3Dモデルをクリックするとただちにプリントが始まるといったくらい簡単にならないとダメでしょう。
今の3Dプリンターは、「使い方がわかる人だけ買って下さい。わからない人は買わないで下さい」の状態になっています。

また、造形精度や強度にも問題があります。3Dプリンターで作ったモノは、現状では「形をまねた試作品」の領域を出ません。
フィラメントを適切に選定すればある程度の強度は得られますが、実際の製品に応用するには経年変化の問題を克服する必要があります。
出来上がった物モノを屋外で使うと徐々に変形してきます。これは装置だけの問題では無く、フィラメントの成分との問題があるので解決は簡単ではないでしょう。

また、価格の問題も重要です。技術者の「おもちゃ」としては高すぎると思います。
確かに安価な製品も存在し、価格差が大きいことも事実です。問題なのはその価格差と製品の性能、使いやすさとの相関(理由)がユーザーに見えてこないことです。

これから3Dプリンターの導入を検討される方へのアドバイス

買ってから使い方を覚えれば良い、何とかなるさ、というのは危険です。一般的な理系の専門教育を受けた人であれば何とかなると思いますが、相談できる知人などが周りにいなく、しかも理系の経験がない人は熟慮が必要です。

ネットを調べれば色々な情報が得られますが、その情報が自分の購入した製品にそのまま利用できるとは限りません。
また、仮に同じ製品であっても、形成された作品が思う様な出来映えになるとは限りません。

実物に稼働している3Dプリンターを見たことがない人は、少なくともショールームに足を 運んで稼働状態を見て、形成された物を手にとって確認する必要があるでしょう。
いったいどの程度の精度であるのか、強度はどの程度なのか、また質感なども確認する必要があります。また、その作品を形成するのに必要な時間も確認しなければなりません。

実際、私は購入を決める前にサンプルの強度を確認するため「折り曲げる力をかけて強度を確認して良いか」とニンジャボットのショールームの担当者に聞いたりしました。
購入を検討している3Dプリンターのメーカーにショールームがなく、デモ機の稼働状態も見ることが出来ない場合は注意が必要です。
ネット上の他人の評価なんて全くあてになりません。自分と他人とでは求めているものが異なるし、感性にも相当な違いがあります。

大島様
文責:合同会社ニンジャボット前田健二

ニンジャボットコペン 付属品SDカード内のファイル不足に関するお詫びとご案内

ニンジャボットコペン ご購入のお客様への重要なお知らせ

この度はニンジャボットコペンをご購入いただき誠にありがとうございます。

早期ご予約にてコペンをお買い上げいただいたお客様の付属品のSDカードの中に スライサーソフトCura とUSBドライバーが入っていないものが一部あることが判明いたしました。

お客様には多大なるご迷惑をお掛けいたしましたことをお詫び申し上げますと同時に、対策といたしまして、当チュートリアルサイトよりダウンロードできるようにいたしました。

上記2点がSDカードに含まれない場合には、下記リンク先からダウンロードしてお使いいただけますよう、よろしくお願い申し上げます。

その他のマニュアル類、テストプリント用データ等につきましては、こちらよりご確認ください

インタビュー/名古屋市立大学 大学院薬学研究科 田上辰秋先生

ユーザーインタビュー

インタビュー風景:右側が田上先生、左側が弊社前田
インタビュー日:2018年4月9日
名古屋市立大学 大学院薬学研究科 田上辰秋先生
個々の患者さんに応じて最適の薬を設計するツールとして
活用されるようになるかも知れません。

ご自身の研究分野について

私は、名古屋市立大学で大学教員をしています。専門分野は「製剤学・薬物送達学」で、これらの授業を担当しています。
製剤学は、医薬品の物理化学的な性質から製造管理、品質評価に関する学問です。
現在、私が所属する尾関研究室では、機能性を高めた新しいタイプの製剤に関する研究をしています。

薬物送達学は、多分ほとんどの人にとっては聞きなれない言葉だと思いますが、その名の通り、薬物を体内の目的の場所(疾患部位)に、目的の量を、目的のタイミングで運ぶための方法論の学問です。
薬には色々な種類がありますが、例えば抗がん剤の場合、体内の正常組織には届けずに、がん細胞だけをピンポイントで叩くのが理想です。それができる最適の方法を研究しています。
私自身は、特にリポソームというナノカプセルを専門としています。なお、薬物送達学は、英語ではDrug Delivery System (DDS)と呼ばれています。

3Dプリンターを導入した理由

3Dプリンターを導入した理由ですが、2015年8月に3Dプリンターで製造された抗てんかん薬(商品名:スプリタム(SPTITAM))の錠剤がアメリカの食品医薬品局(FDA)に認可された事を知ったのがきっかけです。
また、製薬業界で3Dプリンターがトレンドとして広がりつつあったのも影響していると思います。
実際にアメリカの学会で3Dプリンターを使った錠剤に関する研究が発表されたこともあり、3Dプリンター錠剤に興味を持ちました。
普通の錠剤は打錠機という機械を使って製造しますが、3Dプリンターを使う事で色々な形状・構造のユニークな薬が作れると考えました。

3Dプリンター錠剤(スプリタム)のメリット

3Dプリンター錠剤であるスプリタムは、空隙(すきま)が多く、液体にいれるとすぐに溶けるように作られています。
私たちが目にする錠剤の多くは、生理活性を持つ成分(原薬といいます)はわずかであり、残りが乳糖などから作られている場合が多いのですが、この錠剤は、ほとんどが原薬から構成されています。粉末積層造形方式の3Dプリンターを用いて製造することにより、ほぼ原薬から構成されているこの錠剤を口の中で容易に崩壊させることに成功しています。
口に入れると容易に壊れる錠剤は、ものを飲み込む機能の低い子供や高齢者に対して有効です。
また、3Dプリンターを活用する事で、抗てんかん薬のように需要が比較的少ない薬をコストを抑えて作れる可能性があります。

カスタマイズ薬製造の可能性も

また、3Dプリンターを使う事で、患者さん一人ひとりに合わせたカスタマイズ薬を製造することも可能になります。
例えば、子供に薬を飲ませる場合、薬剤師が大人用の薬を割ったりすりつぶしたりして量を調節することがあります。
もともと子供用の規格の薬がないケースが多いのです。そのようなケースでは、3Dプリンターを使う事で子供用の薬をカスタマイズして製造できるかもしれません。

3Dプリンターを導入して最初に行った事

3Dプリンターを導入して最初に行った事ですが、当初は3Dプリンターに関する知識が全くなかったので、そもそも3Dプリンターで錠剤が作れるのかというところから始めました。
論文なども参照し、医薬品の添加物として使用実績のあるPVA(ポリビニルアルコール)を素材にテストを行いました。
薬をPVAにしみこませたり、あるいは混ぜたり、様々な形状にしたり密度を変えたり等々色々試しました。
それらの一連の結果をまとめ、2017年に論文化し、学会で報告を行いました。

名古屋市立大薬学部、薬物送達学分野に設置されている弊社の3Dプリンター

3Dプリンターのフレキシビリティ

3Dプリンターを研究用に導入して感じた事ですが、3Dプリンターはフレキシビリティが高く、様々な用途で使える可能性があり、発展性が高いです。
色々なデザインのものが作れ、アイデア次第で色々な事に使えると思います。

製剤分野の研究では、既に3Dプリンターでポリピル(Polypill)という、複数の有効成分が含まれている錠剤をワンステップで製造する事が考案されています。
例えば、高齢者のように複数の錠剤を飲む必要がある人や、同じ錠剤でも薬効が違う人(ある人は効きやすく、ある人は効きにくい)に対し、薬の種類や量を考慮して調製する事が可能になります。
このようなシステムでは、薬が患者さんが抱えている疾患や患者さんの状態に対応して調製されることから、オーダーメイド型の医療として期待されています。
現在、3Dプリンター錠剤・医薬品のモデルを考案し、試行錯誤で色々なものの作成を行っていますが、この分野に伸びしろがある事を実感しています。

3Dプリンターの利用頻度

3Dプリンターの利用頻度ですが、時期によってまちまちです。私自身が研究用に使うほかに、3Dプリンター医薬品を研究テーマにもつ学生も卒論研究や研究発表で使用しています。
忙しい時は非常に忙しいです。研究発表の時期などが近付くと、データを取るために3Dプリンターを動かす事が多くなり、連日稼働している事もあります。

ニンジャボットを選んだ理由

ニンジャボットを選んだ理由ですが、第一にニンジャボットが国産だったことです。トラブルの際などにすぐに対応してくれると思いました。
海外のメーカーだと、距離・時間・言語の問題でサポートを受けることが難しいと思いました。
値段的には、ニンジャボットは必ずしも安くありませんが、安すぎるのもクオリティの問題があると思いましたし、購入するまでの対応も良かったです。

今の3Dプリンターについて改善を希望する点

今の3Dプリンターについて改善を希望する点ですが、造形スピードをもっと速く、あるいは一度にたくさん造形できるようになればいいと思います。
生産の効率がもっと上がるといいと思います。製薬業界では、生産性と正確さが要求されます。
3Dプリンターによる薬の製造はオーダーメイドで作るとしても、ある程度の生産スケールが確保される必要があります。
病院や調剤薬局で薬を調製するにしても、患者さんを待たせなくする必要もあります。

また、製剤分野の研究者としては、例えば粉末積層造形方式の3Dプリンターやゲル射出型の3Dプリンターなどの、医薬品の製造に特化した3Dプリンターが登場する事を期待しています。
そのためには、製剤研究者だけではなく、3Dプリンター開発者、ソフトウェア開発者などの連携が必要になると思います。

3Dプリンターが変える社会

製剤分野の研究者としての立場の意見ですが、先述したオーダーメイド医療で3Dプリンターの活躍が期待されています。
患者さん一人ひとりによって薬の効き方は異なります。身体的な面(身長、体重、性差、人種差)によって効き方は異なりますし、高齢者になると肝臓や腎臓の機能が低下する方が増えてきますので、薬の副作用が出やすいと考えられています。
このため、3Dプリンターは、個々の患者さんに応じて最大の治療効果と最小の副作用をもたらす、最適の薬を設計するツールとして活用されるようになるかも知れません。

また、医療分野において3Dプリンターは、ヒトの代わりの調剤機械や調剤ロボットのような形で医療機関に導入されると考えられています。
そのような3Dプリンター、3Dプリンター医薬品が登場し導入されるまでには、規制や法的整備(レギュレーション)が必要になると思います。

これから3Dプリンターの導入を検討される方へのアドバイス

3Dプリンターで何を作りたいか、どのようなことをしたいか目的を決めて購入される事をおすすめします。
次に、3Dプリンターを購入されたら3Dプリンターを使って楽しむことが一番重要だと思います。
最初はある程度試行錯誤があるかも知れませんが、サポートを受けたりするうちに段々と慣れてくると思います。

また、3Dプリンターの周辺環境が目まぐるしく変わっており、その環境変化や技術向上によって3Dプリンターが出来ることも大きく変わってゆくと思います。
3Dプリンターを導入し、世界で行われていることを知ることにより、時代の流れを感じることが出来ると思います。
医薬業界も例外ではないと思います。今後も社会に貢献出来るように、3Dプリンターを使った医薬品の研究を行ってゆきたいと思っています。

研究室で記念撮影。左側が田上先生、右側が弊社社長の佐藤
名古屋市立大学薬学部 研究棟前の写真
名古屋市立大学大学院薬学研究科
薬物送達学研究室のホームページ
http://www.nagoya-cu.ac.jp/phar/grad/soyaku/seimei/dds.html

インタビュー/湖西地域職業訓練センター様 所長 鈴木勝士様 学院長 三上貴弘様

ユーザーインタビュー

湖西地域職業訓練センター様
インタビュー日:2018年2月7日
湖西地域職業訓練センター 所長 鈴木勝士様 学院長 三上貴弘様
デスクトップ・マニュファクチャリングが
現実のものになると思います。

湖西地域職業訓練センターについて

湖西地域職業訓練センターでは、主に在職者の方を対象とした短期訓練・短期学習を行っています。
在職者の方、つまりお仕事に就かれている方が勤務終了後にこちらへお寄りになり、夜6時から9時の時間帯で各種の学習をされています。
また、夏休み期間中に高校生を対象にした各種の講座なども提供しています。湖西地域職業能力開発協会が運営し、実際の講座は湖西職業能力開発学院が行っています。

講座はパソコン入門、Excel入門、PowerPoint入門といった情報処理系から、基盤基本、製品図面、NC旋盤、CADなどのモノづくり系、仕事の考え方、人の扱い方、改善の仕方などの管理監督系まで幅広く提供しています。
3Dプリンターの講座も「3Dプリンター入門・初級編」として、年に2回行っています。なお、受講者さんは地元の中小企業の在職者の方がほとんどです。製造業の技術系に関わっている方が多いです。

3Dプリンターを導入したきっかけ

センターが3Dプリンターを導入したきっかけですが、湖西市前市長の肝いりです。
3Dプリンターや3DCADがトレンドとなりつつあるので、早い段階で取り入れたらどうだろうという前市長の話からスタートしました。センターの方でも面白いという話になり、導入が決まりました。

3Dプリンターの導入が決まり、機種選定をしたところ、ニンジャボットが候補にあがりました。
ニンジャボットはオープンフレームの構造で、動作を周囲から観察する事が可能です。講座で使う際も、受講者さん達が周りから動作状況を確認できます。
静岡県のメーカーでもあり、メイドインジャパンであるのも魅力的でした。構造もシンプルで使いやすいのも良いと感じました。

3Dプリンターの利用用途

センターにおける3Dプリンターの利用用途ですが、「3Dプリンター入門講座」などでの利用に加え、湖西少年少女発明クラブでも使っています。
湖西少年少女発明クラブは地元の小学校4年生から6年生までの子供達を対象にした湖西市が主催するクラブですが、現在会員50名で運営しています。そのクラブの活動の一環として、昨年10月に「3DCADと3Dプリンター入門講座」を開催しました。
子供達に3DCADを使ってもらい、作ったデータを3Dプリンターで実際に出力してもらいました。

また、湖西少年少女発明クラブや地元の企業などが主催した「青少年科学体験」というイベントでも3Dプリンターを利用しました。
ブースに3Dプリンターを設置し、3DCADからカスタムメードのキーホルダーを3Dプリンターで出力するというデモを行ったのですが、大好評でした。
30名限定でしたが、子供達が長蛇の列を作るほどの人気でした。

3Dプリンターの導入目的

また、センターが3Dプリンターを導入した目的として、地元企業への啓蒙もあります。
ご存知の通り、ITやIoTなどの技術が象徴するように、時代は確実に新技術へシフトしつつあります。
3Dプリンターを見たことがない、使ったことがないという企業に3Dプリンターを紹介し、その可能性を感じてもらいたいという期待もありました。
湖西市は日本でも有数のモノづくりの町として知られていますが、そのモノづくりの町湖西で、3Dプリンターという新たな技術トレンドを生じさせたいという願いもありました。

また、市民を対象としたイベントで3Dプリンターを活用する事も検討しています。詳細はまだ企画中ですが、市民の方が楽しめる、3Dプリンターを実感できるようなイベントを構想中です。
メーカーズラボなどが行っている、3Dプリンターでジュエリーを作るといったようなイベントができたらといいと思います。

ニンジャボットで時計の製造も

3Dプリンター導入についてのセンター利用者の反応

3Dプリンター導入についての当センター利用者の反応ですが、総じて前向きで良好です。
3Dプリンターを知っているという方が多く、実際に使っておられるという方もおられました。センターに設置されたニンジャボットを見て、「3Dプリンターが入ったんだね」とコメントされる方もおられました。
地元の企業の反応も軒並み良好です。湖西市の企業には3Dプリンターを実際に持っているという企業も多いです。

ソフトウェアについて

3Dモデルを作るソフトウェアですが、ソリッドワークスを使っています。
子供向けのイベントでもソリッドワークスを使っています。子供達もイベントなどでソリッドワークスをある程度使いこなしています。モデルをカットしたり、絵を組み合わせたり、自由に使っています。
体験会などではソリッドワークスで3Dモデルのサンプルを事前に作っておいて、それを子供達にカスタマイズしてもらっています。また、スカルプトリスという、使いやすい彫刻モデリングソフトウェアも使っています。

今後の3Dプリンター

今後の3Dプリンターについてですが、3DCADとセットになって進化してゆくと思います。
我々の認識では、まずは3DCADがあり、3DCADの進化に合わせるかたちで3Dプリンターも進化すると思います。
3DCADでデザインしたモデルを、いかに正確に出力できるかがカギになると思います。ソフトとハードが両輪となって進化するイメージです。
3Dプリンターは、旋盤の世界においてNC旋盤が進化したのと同じような形で進化すると思います。

前にセンターの利用者で、子供の壊れた玩具の部品を3Dプリンターで作成した人がおられましたが、そのような事が当たり前になる時代が来ると思います。
必要な3Dモデルをインターネットで入手し、3Dプリンターで作成するという、いわゆるデスクトップ・マニュファクチャリングが現実のものになると思います。

また、3Dスキャナーでペットをスキャンし、3Dプリンターでミニチュアを出力したり、同様に結婚式のお祝い用にカップルのフィギュアを製造したりするといったことが当たり前になると思います。

これから3Dプリンターの導入を検討される方へのアドバイス

これから3Dプリンターの導入を検討される方へのアドバイスですが、サポートがしっかりしたメーカーの製品を選ぶ事が大切だと思います。
データの修正やアドバイスなど、細かくサポートしてくれるメーカーは重宝します。
困った時にすぐに対応してくれるメーカーを選んだ方がいいと思います。

 ニンジャボットでお造りいただいた各種の品々
湖西地域職業訓練センターのホームページ
http://kosai-center.ac.jp/

インタビュー/名古屋大学医学部附属病院 病院助教 加茂前 健先生

ユーザーインタビュー

インタビューにお応えいただく加茂前先生
インタビュー日:2018年1月23日
名古屋大学医学部附属病院 病院助教 加茂前 健先生
Ninjabotは完成度が高く、メンテナンスも
しっかりやってくれそうだったので選択しました。

医学物理士という仕事について

私は医学物理士として大学病院に勤務しています。医学物理士は、放射線医学における物理的課題を扱う専門職です。医学物理士の仕事でわかりやすいのが放射線治療です。
医学物理士は、医師と連携し患者さん毎に効果的かつ安全な治療計画を立案し、その計画通りに治療が行えるよう機器の精度管理や検証を行っています。
患者さんと接することは少なく、「縁の下の力持ち」と言われることもあります。

3Dプリンターを導入した理由

私が3Dプリンターを導入した理由ですが、基本的には研究目的です。
具体的には、放射線の量を測るためのファントムと呼ばれる機器を作成するのが目的です。
放射線治療を行う際は、患者さんに治療を行う前に、放射線が正しい量で照射されているかを確認する必要があります。強度変調放射線治療 (IMRT) などの高度な放射線治 療では、更に正確な検証が求められます。
その際にファントムを使うのですが、一般的に使われているファントムは、箱状や板状の汎用的な形をしています。それらは患者さんの体と同じ形状ではありません。
3Dプリンターを使えば、患者さんの放射線を当てる部位の形状を模したファントムを作成できます。
それを使用すれば、患者さんが実際にいるかのような状況で、擬似的に患者さんの体内の放射線量を測れるようになると考えたのです。

3Dプリンターでファントムをカスタマイズ製造

実際に3Dプリンターでファントムを作る方法ですが、元データは患者さんのCT画像などです。
CT画像のDICOMデータをOsiriXというソフトでSTLに変換し、3Dプリンターで出力します。
これまでに頭部のデータを基にNinjabotで出力し、線量計などを入れて試してみました。その一連の内容は論文にまとめて公開しています [1]。

Ninjabotの造形の精度ですが、悪くはないのですが、PLAを100%インフィルで出力すると、冷え固まる際に底面が台座から剥がれ反る傾向があります。
また、造形時間が長いのも難点です。論文で作成したものは、2.5 cm高さの頭部断面ですが、1~2日かかります。この辺が改良されるとさらにいいと思います。あと、骨の密度に近いような素材があるといいですね。

FDM方式の3Dプリンターを選んだ理由

FDM方式の3Dプリンターを選んだ理由ですが、ひとつはコストです。
Ninjabotもそうですが、比較的手が出しやすい価格のものが多いです。
光造形方式のものも検討しましたが、価格が高く、材料も高いです。FDM方式の3Dプリンターは、材料が安いのもメリットです。
Ninjabotは完成度が高く、メンテナンスもしっかりやってくれそうだったので選択しました。

医療における3Dプリンターの今後

医療における3Dプリンターの今後ですが、健康保険収載されている対象の拡大や造形コストに似合った点数化がされると、更に普及するかもしれません。
一方で、現在の3Dプリンターは普及の成長曲線の踊り場にあると考えます。視覚的に病気の位置を確認する臓器モデルなどは一定の完成度に達してきたと思います。
では次のステップは?、それを考えなければ、3Dプリンタの医用応用は5年後には陳腐化しているかもしれません。

私自身、病院の中で3Dプリンターを使っていく事に大変期待しています。
大きな病院では、臓器モデルなどを3Dプリンターで出力するための3Dプリンティングセンターなどがあればいいのかもしれません。

私の専門である放射線治療領域では、ボーラスが3Dプリンターで作れるようになるといいですね。
放射線治療ではファントムの他に、ボーラスという5~10 mm程度の体厚補償シートを使います。
例えば皮膚表面や浅い部分の病巣を治療する場合、ボーラスを皮膚上に置きます。それにより、病巣に必要な線量を照射でき、かつ周囲の正常組織への余分な照射は減るというわけです。
それぞれの患者さんに合わせたボーラスを3Dプリンターで作れるようになれば、治療精度も上がると思います。耳や鼻など複雑な形状を治療する場合はなおさらです。
医療機器としての安全性を担保する必要があるなど課題はありますが、これが実現すると、かなり普及するのではないかと思います

インタビュー/ナノダックス株式会社 取締役営業部長 福山稔朗様

ユーザーインタビュー

ナノダックス株式会社 取締役営業部長 福山稔朗様
インタビュー日:2018年1月24日
ナノダックス株式会社 取締役営業部長 福山稔朗様
まずは何のために3Dプリンターを
導入するのか目的を明確にすることです。

ナノダックス株式会社について

ナノダックス株式会社はもともと、釣り糸の製造に使われるナノレベルの添加剤からスタートしています。
ナイロンの釣り糸の強度を上げるために使われる添加剤です。
その後、グラスウールメーカーと共同で、グラスウールを樹脂に練りこんだグラスウール強化熱可塑性樹脂製造工法の開発に成功しました。それが当社の主力製品になっています。
グラスウールは綿状で、一般的には断熱材に使われており、冷蔵庫の断熱部品などにも使われています。

私どものビジネスモデルですが、製品を直接製造していません。
我々は、開発した製造技術のライセンス・ノウハウを販売しています。すべてファブレスでビジネスを展開しています。

3Dプリンターの世界に入ったきっかけ

我々が3Dプリンターの世界に入ったきっかけですが、PP(ポリプロピレン)のフィラメントで良いものがないかという話があったからです。
PPは安く、耐薬品性に優れ、アルカリにも酸にも水にも強く、軽くて用途も広い。
車などでは使われている樹脂部品の半分はPP製です。それほど大量に使われているPPが、なぜか3Dプリンターのフィラメントとしては使われていません。
なぜ、PPのフィラメントが存在していないのか?色々と調べたところ、PPは樹脂の収縮が大きいので3Dプリンターで使えるものが本当に存在しない事がわかりました。
FDM方式の3Dプリンターの世界は特殊で、使える樹脂はABSかPLAがほとんどです。
PPなら安いし、前述したように多くのメリットがあります。
それなら、フィラメントまで作れる技術を持っている我々が作ってしまおうという話になったのです。
弊社の代表の藤田鉦則のポリシーとして、「世の中にないものをつくる」というものがあります。
3Dプリンターの世界を見まわしてみて、収縮が大きくてPPのフィラメントが存在しないなら、グラスウールを配合して収縮をコントロールできるのではと考えて、試行錯誤した結果、造形性に優れたPPのフィラメントを完成させました。

ニンジャボットの3Dプリンターを導入した理由

ニンジャボットを導入した理由ですが、PPのフィラメント製造の話が出た時に、提携先の会社からご紹介をいただいたからです。
提携先の会社でニンジャボットが導入されていて、テストなどもニンジャボットを使って行っている。
それならば我々もニンジャボットにしようという話になりました。また、ニンジャボットが国産というのも理由のひとつです。

なお、ニンジャボットを導入した際に、ニンジャボット以外のメーカーの製品も導入しました。
有名な外国メーカーの製品も複数導入しています。我々のフィラメントをそれぞれの機種で実際に出力してみて、テストしています。

ポリプロピレンフィラメントの売れ行き

PPのフィラメントは開発が終わり、既に上市していますが、国内での売れ行きはまだこれからの段階です。
海外、韓国では、石膏の代わりとして足の装具用(ギブス)の素材として採用が決まりました。
また最近では自社デザインで義足用に使えないか試作を繰り返しています。

国内ではまだ3Dプリンターの価格が未だに高いという問題があるかも知れません。
造形の精度も、反りが生じるなど決して良くない。メンテナンスのコストも高い。
ハイエンドの3Dプリンターでは価格が数千万円もするし、一方、低価格の3Dプリンターは使える樹脂が限定されるなど、趣味の世界はともかく、ものづくりの現場での実用に耐えうるものではないと思います。
自動車メーカーなど、一部で3Dプリンターを既に導入されているところもありますが、中には使い方がわからないといったケースもあります。
端的に言えば、日本のモノづくりで求められるレベルには達していないのかも知れません。

日本における3Dプリンターの今後

日本における3Dプリンターの今後についてですが、B2Cであればある程度普及するかも知れません。
学校や個人の趣味などで使う人が増えてくる可能性はあるでしょう。
一方で、B2Bではそれほど普及しない可能性もあると考えます。現在の3Dプリンターの性能などを考えるに、コンシューマー用の自動車や家電関係などのモノづくりの現場で一般的に使われるようになるかどうかは、まだ未知数でしょう。

現在のFDM方式の3Dプリンターが抱える課題として、スピードの問題があります。
FDM方式の3Dプリンターは造形のスピードが遅過ぎます。また、3Dデータを作るのが素人には難しい。
誰でも簡単に3Dデータを作れるようにならないと、3Dプリンターが広く普及するのは難しいかも知れません。

さらには素材の問題もあります。3Dプリンターで使える素材の選択肢をもっと増やす必要があります。
色々な樹脂素材が使えてきちんと造形できる、さらにはトラブル時のサポートやサービス体制が充実すれば、日本でも3Dプリンターはもっと普及すると思います。

3Dプリンターの利用用途

3Dプリンターの利用用途ですが、フィラメントの造形性テストや耐久テストに使っています。
ロット間のばらつきなどをチェックしたり、着色の具合などをチェックしています。また、造形時の反りなどもチェックしています。なお、3Dプリンターは毎日使っています。

ナノダックスが開発したPPフィラメント「3Dmagic」

これから3Dプリンターの導入を検討される方へのアドバイス

これから3Dプリンターの導入を検討される方へのアドバイスですが、まずは何のために3Dプリンターを導入するのか目的を明確にすることです。
3Dプリンターを何に使うのかによって話が全く違ってきます。また、求める造形サイズや精度も明らかにしておく必要もあります。
精度をそれほど求めないのであれば、安い3Dプリンターでも十分でしょう。さらには、使う素材もあらかじめ明確にした方が良いです。

3Dプリンターも機種によって性能にばらつきもあります。また、サポートやメンテナンスなども含めてトータルでコストを見た方が良いでしょう。
トラブルが生じた際にきちんと問題解決してもらえるのかも重要です。
故障した際の対応などは非常に大きな問題です。メーカーによっては対応が不十分なところもあります。
3Dプリンターを使っていると必ずトラブルに見舞われます。ノズルが詰まってしまったり、造形が崩れてしまったり、等々です。そのようなトラブルが生じた際の、メーカーのサポート体制を見極めることも重要です。

ナノダックス株式会社様のホームページ
http://www.nanodax.jp/

インタビュー/静岡理工科大学 理工学部 武岡成人先生

ユーザーインタビュー

インタビューにお応えいただく武岡先生
インタビュー日:2018年4月17日
静岡理工科大学 理工学部 武岡成人先生
冶具や試作品の製造がしやすくなり、
製造にかかる時間を削減出来ました。

ご自身の研究分野について

私は、静岡理工科大学で音の研究をしています。音の世界では今、3Dプリンターを様々な用途で活用しようという機運が高まっています。
例えば、スピーカーのホーンを作る時は、エクスポネンシャルカーブと呼ばれるカーブをデザインする必要がありますが、ホーンや人間の発音の仕組みを模擬した装置など,精巧な装置を要する研究に対して3Dプリンターを用いて実験した報告を頻繁に目にするようになってきました。 3Dプリンターが登場する前は、設計図を描き、金型を発注し、外部の業者に試作品などを作ってもらっていました。
コストと時間がかかるため、それなりのプロジェクトでないと試作品を作るのは困難でした。

なお、私の専門領域ですが、多チャンネル制御と呼ばれるものです。たくさんのチャネルをコントロールして音を出すという研究です。
具体的には、パラメトリックスピーカーというたくさんのチャネルから超音波で音を出すスピーカーなどを研究しています。
超音波で音を出すと、まっすぐに届く音が出せるようになります。
また、音を本当に立体的に再現するには、大量のスピーカーを1㎝間隔で敷き詰める必要があります。
そうしたハードウェアを含めて新しい音の再生方法を研究しています。

武岡先生が開発した多チャンネルパラメトリックスピーカー

3Dプリンターを導入した理由

3Dプリンターを導入した理由ですが、新しいスピーカーの試作品を作る際に使う冶具などを作るためです。
オリジナルのスピーカーを作る際、パーツなどを固定する必要があります。
パーツを固定するための冶具を外注で作るのは手間もかかります。
3Dプリンターを使えば、簡単に作る事ができると考えました。

また、多チャンネルのヘッドホンなど新しい技術にも挑戦しているのですが,そのプロトタイプも3Dプリンターで作っています。
以前は、パイプなどの材料を買ってきて工作していましたが,精度やトライアル&エラーにかかる労力に問題がありました。
3Dプリンターであればパラメータを調整しセットするだけです。

3Dモデルの作成方法

3Dモデルの作成方法ですが、学生がそれぞれ3DCADソフトなどを使って作っています。
今は学生の方がその辺に詳しく、3Dモデルを作りなさいと指示すると、ネットなどで調べて作ってきます。
この冶具の3Dモデルも学生が作りました。

3Dプリンターを導入して得られたメリット

3Dプリンターを導入して得られたメリットですが、何よりも冶具や試作品の製造がしやすくなり、製造にかかる時間を削減出来たことです。
以前であれば、学生が手作業で作ったりしていましたが、実験などで使えないレベルのものが多かったです。
今は3Dプリンターがあるので、そうした問題から解放されています。

ニンジャボット本体

ニンジャボットを選んだ理由

ニンジャボットを選んだ理由ですが、ひとつは造形サイズです。
もともとスピーカーの試作品を作る事を想定していたので、それなりの造形サイズが必要でした。
ニンジャボットの300シリーズであれば30㎝角程度のモノが作れます。

また、ニンジャボットがデュアルエクストルーダーを搭載している事も理由です。
まだ実現は出来ていませんが、例えばヘッドホンなどを柔らかい素材と固い素材を組み合わせて作る事などを想定していました。

あと、サポートがあるのも助かっています。
同僚の先生で安い3Dプリンターを買った先生がおられますが、メンテナンスなどのサポートが受けられなくて困っています。
サポートが受けられることについては満足しています。

ニンジャボットの3Dプリンターについて改善を希望する点

ニンジャボットの3Dプリンターについて改善を希望する点ですが、造形精度の向上です。
音を吸収するための実験用の部品などをかなりの種類作りましたが、PLAのインフィル密度を上げても、私の環境では実験に耐えうるレベルのものは作れていません。
積層式で造形するためか、音が漏れてしまうのです。
研究者の中には問題ないとされている例もありますが現時点では音に対しては相当な厚みと密度が必要なのかもしれません。
この問題が解決されれば、音の世界で3Dプリンターが活躍できる範囲がもっと広がると思います。

なお、造形スピードについては特に問題と感じていません。
ある程度の大きさの部品を作るのであれば、1日程度の時間がかかるのはやむを得ないと思います。
とは言うものの、造形スピードが速くなるのは良い事だと思います。

あと、造形時の音が気になりますね。部屋の隅に置いて稼働させればいいのでしょうが、作業をしている時など、音が気になるときがあります。

実験で耐えうる精度が出せなかった部品

普段使っている素材について

普段使っている素材ですが、ほぼすべてPLAです。フレックス系の素材なども使ってみたいと思っていますが、今のところそこまで辿り着いていません。

大学内での3Dプリンターの利用状況

学内の3Dプリンターの利用状況ですが、ニンジャボットも含めて複数台稼働しています。
学科によっては学科で高額な3Dプリンターを購入しています。
ニンジャボットのようなFDM方式の3Dプリンターの他に、粉末造形方式の3Dプリンターもあります。
なお、3Dプリンターは学生と教員のどちらも利用しています。

これからの3Dプリンターに期待すること

電気の世界の話ですが、今、電子回路基板を直接プリントするプリンターで良いものが出てきています。
プラスチックのみならず、あらゆる素材を出力する3Dプリンターが続々と出てきています。
CADで基板の図面を書いて3Dプリンターで出力すれば、はんだ付けをする必要もありません。
私が所属する学科でも、そうした3Dプリンターに予算を付けています。

これから3Dプリンターの導入を検討される方へのアドバイス

これから3Dプリンターの導入を検討される方へのアドバイスですが、3Dプリンターで完ぺきなモノが作れると考えない方がいいです。
精度の高いモノをつくるには、それなりのノウハウやテクニックも必要になります。
3Dプリンターを購入される前に、そのことを知っておいた方がよいと思います。

左武岡先生、右ニンジャボット酒井
文責:合同会社ニンジャボット前田
静岡理工科大学 武岡先生のホームページ
http://www.sist.ac.jp/~takeoka/

インタビュー/株式会社イエロー 関口直人様

ユーザーインタビュー

株式会社イエロー 関口直人様
インタビュー日:2018年1月19日金曜日
株式会社イエロー 関口直人様
3Dプリンターを導入した事で
時間をセーブする事が可能になりました。

3Dプリンターを導入した理由

当社は折りたたみ式ヘルメット「タタメット」シリーズを中心に製造販売しているメーカーです。製品の企画・デザインから販売まで一貫して行っています。
2008年から主力製品のタタメットシリーズを販売しており、これまでに「タタメット」、「タタメットズキン」、「タタメットBCP」、スタッキングヘルメット「カクメット」などの製品をリリースしています。

3Dプリンターを導入した理由ですが、まずは試作品用の部品作りです。これまで試作品の製造はすべて手作業で行ってきましたが、3Dプリンターを使う事で大部分の手作業をリプレースする事が出来ました。
また、生産の工程で使う冶具も3Dプリンターで作っています。他のメーカーでも冶具作りに3Dプリンターを使っているところが多いと思いますが、当社のそうした会社の一社です。

イエロー様の主力製品「タタメット」

3Dプリンターの利用頻度、デザイン、素材などについて

 当社における3Dプリンターの利用頻度ですが、私を含めた開発担当者はほぼ毎日何らかの形で3Dプリンターを利用しています。
当社ではNinjabotの200シリーズと300シリーズの2台を使っていますが、出力するものに合わせて使い分けています。
表面の仕上がりにある程度のクオリティが必要な時は200シリーズを、大型のものを出力する時は300シリーズを、といった具合です。

部品の設計作業は主にRhinocerosという3DCADソフトで行っています。Rhinocerosで作成した3Dモデルをスライサーソフトでg-code化し、Ninjabotで出力しています。
私自身、今の仕事に携わってまだ1年ですが、今ではNinjabotをそれなりに使いこなせています。Ninjabotはとても使いやすく設計されていると思います。また、使っている素材はPLAがメインです。
ポリメーカーのPolyPlusを主に使っています。

3Dプリンター導入のメリット

3Dプリンター導入のメリットですが、作業のスピード化、効率化が第一です。人間が手作業でやるのと、3Dプリンターで出力するのとでは精度も違います。
3Dプリンターで出力し、実際に手に取って確認しながら作ってゆく事で全体像をより具体的にイメージする事が可能になります。
当社の製品は各種の部品が動くタイプのものが多く、そうしたものをデザインする際には実際の動きを確認する必要があります。
デザイナーが頭の中で動きをイメージ出来たとしても、実際に作ってみると問題が生じたりする事が多々あります。そういったトライ&エラーのサイクルを早く回すことができるという意味で、3Dプリンターが大いに役立っています。

3Dプリンターを導入する前は、試作品はすべて手作業で作っていました。バンドソーやボール盤、フライス盤といった加工機械で削る、切る、といった本当の手作業です。
そうした作業には膨大な時間がかけられていました。3Dプリンターを導入した事で、そうした時間をセーブする事が可能になりました。

 イエロー様社内で稼働中のニンジャボット

データのやり取りが簡単になったというメリットもあります。デザインした部品の3Dデータを機構設計屋さんに送って3Dプリンターで出力してもらい、現物を確認してもらえる。
以前でしたらこちらが手作業で作ったものを宅急便で送る必要がありました。それが必要なくなったのは非常に大きなメリットです。
3Dプリンターを導入した事で、モノづくりがデジタル化したと言えると思います。

今後3Dプリンターの導入を検討される方へのアドバイス

今後3Dプリンターの導入を検討される方へのアドバイスですが、まずは出力を検討しているものの形状や大きさ、求められる仕上がりのクオリティなどを総合的に勘案し、それに最もマッチする3Dプリンターを選ばれる事をお勧めします。
例えば、比較的小さいものを作る場合、出力に一定の精度が求められるケースが多いです。その場合、例えばNinjabotの場合、300シリーズよりも200シリーズを選ばれる方がベターです。
一方で、比較的大きなものを出力するのであれば300シリーズを検討すべきでしょう。

小さいものから大きなものまでの出力を、すべて1台のプリンターで済まそうとするのは難しいと思います。
購入前に出力テストなどをしてもらって仕上がりを確認し、ベストな3Dプリンターを選ぶようにするのがおすすめです。

株式会社イエローのホームページ
http://yellow-inc.com/

インタビュー/株式会社AKAISHI 商品開発セクション 村岡真様

ユーザーインタビュー

株式会社AKAISHI 商品開発セクション 村岡真様
インタビュー日:2018年3月5日
株式会社AKAISHI 商品開発セクション 村岡真様
これまで2週間かかっていたものが
本当に1日で出来るようになりました。

株式会社AKAISHIについて

株式会社AKAISHIの歴史は昭和21年にまで遡ります。創業者赤石銀蔵が下駄生地製造業「赤石銀蔵商店」を創業したのが始まりです。
昭和33年にはサンダル資材製造事業へ転業し、平成2年に当時の社長の肝いりで現在の事業の柱の一つである健康雑貨製造事業へ進出しました。
健康雑貨製造事業は現在非常に好調で、売上に大きく貢献しています。

メイン事業である履物製造事業と共に、当社を支えています。当社の商品は、直営店舗やロフト、東急ハンズなどの店舗、インターネットショップ等で販売しています。
商品はすべて社内で企画しています。ニンジャボットは主に健康雑貨の軟質な商品の開発で使用しています。

稼働中のニンジャボット

3Dプリンターを導入したきっかけ

我が社が3Dプリンターを始めて導入したのが2007年です。
今から10年以上前ですが、当時はまだ3Dプリンターという言葉が一般的ではありませんでした。
履物を開発製造する際にはラストという足型が必要となります。
ラストは主に靴のフォルムを形作る為に必要なのですが、3Dプリンター導入前は外注して作っていました。
ラストはABS樹脂を削って作りますが、外注すると納期は2週間程度かかり、コストも馬鹿になりません。
社内でラストを作る方法は外注の切削加工以外にないのか?と試行錯誤し始めました。

また、当時はプロダクトデザインも内製化し、CADも導入していました。
CADを使って社内でラストをデザインしても、実際にモノになるには2週間もかかる。何とかならないだろうかという問題意識もありました。
そのため、ラストを社内で内製化する具体的な方法を探し始めたのです。
そういった方面に詳しい人に相談したり、あるいはインターネットで情報を集めたりしているうちに、どうやら3Dプリンターというものがあると判りました。
2007年にアメリカのストラタシス社の3Dプリンターを導入しました。

3Dプリンターを導入した事で得られたメリット

3Dプリンターを導入した事で得られたメリットですが、非常に大きなものがありました。まず、期待していた納期の短縮ですが、これまで2週間かかっていたものが本当に1日で出来るようになりました。
また、コストも大きく下がりました。外注するとそれなりのコストがかかるため、それまでは試作品は数回しか作れませんでした。
ところが、3Dプリンターでは納期が短い為、より多くの試作品を作る事が出来ます。製品の質を上げるという事が命題であるメーカーとしてはこの違いは非常に大きいです。

当初、ラスト作りを内製化するために3Dプリンターを導入したのですが、次第にプロダクトデザインの試作にも利用するようになりました。
プロダクトデザインを形にする試作品は試作金型や切削加工で作成していたのですが、ここに画期的な3Dプリンター製が加わったのです。

デザインの試行錯誤を経てつくられたベストセラー製品

ニンジャボットを導入した理由

ニンジャボットを導入した理由は、軟質素材が使用可能である為です。フレックス系の柔らかい素材を使える3Dプリンターを探していて、ニンジャボットに辿り着きました。
しかもニンジャボットは同じ静岡市内で、近隣にあり、早急にコンタクトして、デモを拝見させて頂いて、導入を決めました。
AKAISHIではニンジャボットは柔らかいものの試作品づくりに、かかせない道具となり、開発が多忙な時期は毎日、毎晩、稼働しています。

3Dプリンターで試作品づくりをするメリット

3Dプリンターで試作品づくりをするメリットですが、何と言ってもデザインを実際にモノにして手にし、形状などを確認出来る事でしょう。
実際にモノを作ってみて、部品同士を組み合わせたり、部品の位置を検証したり、デジタルデータだけでは実感できない事が確認出来ます。
金型などはコストも高く、失敗が許されません。3Dプリンターで試作を数回重ねて、より良い商品の開発が可能となります。
又、パッケージデザインの検証も可能となります。
図面で絵を見ながらパッケージデザインするよりも、実際の形状を手にしながら行った方がより洗練されたイメージも湧きます。

3Dプリンターが日本のモノづくりに与える影響

3Dプリンターが日本のモノづくりに与える影響ですが、私見ですが、当社のような企画開発型のメーカーにとっては非常にメリットは大きいと思います。
上述した通り、3Dプリンターで試作品を作る事で、より洗練された商品を生み出す事が開発であると思います。
コストと納期が下がるのもありがたいです。
試作等のものづくりを行わないメーカーなどではメリットはないと思いますが、当社のように新製品を毎年出しているメーカーでは非常に大きなメリットが生まれます。

ソフトウェアについて

当社で使っているソフトウエアですが、主にThinkDesignというCADソフトを使っています。デザイン系のメーカーで使用するには使い勝手が良いかと思います。
ThinkDesignでデザインしたデータをSTLに変換して3Dプリンターで出力しています。

以前はφステーションという工業系のソフトウエアを金型作成用、プロダクトデザイン用に併用していました。
プロダクトデザインに優位性のあるThinkDesign導入は、必然であったと考えます。

AKAIISHI健康雑貨の新商品のアイデアの出し方

新商品のアイデアですが、まず、マーケティング部門から「次の時期にこういうものを売りたい」というインプットがあります。
このインプット情報に基づき、外部デザイナーも加わり、商品の構想や実現性、実際の設計、デザイン、といった開発業務にあたります。

開発の初期段階から、とりあえず、3Dプリンターで試作してみるという場合が多いです。
開発アイテムが絞られてからもデザイン変更や強度・機能検証などを3Dプリンターで繰り返し造形し、洗練された商品へと進化していきます。

これから3Dプリンターの導入を検討される方へのアドバイス

これから3Dプリンターの導入を検討される方へのアドバイスですが、ソフト(主に3次元CAD)はクリエイティブなものを造形したい場合は必需品ですので、
あらかじめ、調査、検討した方が良いかと思います。既にあるSTLデータをそのまま造形するのであれば、ハード(3Dプリンター)だけで良いかと思います。

また、3Dプリンターは値段と精度が比例するかと思います。
3Dプリンターに求める精度はデモやサンプル等で確認出来ますので、3Dプリンターの展示会に赴くのも購入の 参考になるかと思います。

社内のアイデアから生まれた各種の製品
株式会社AKAISHIのホームページ
http://www.akaishinet.com/

新製品「NJB-200HT」販売開始のご案内

ニンジャボットの新製品となる「NJB-200HT」の販売を開始いたしました。
NJB-200HT製品ページへ


ニンジャボットNJB-200HTは従来のNJB-200をベースにノズルと成型テーブルの可変温度をより高温にまで対応できるようにした研究開発用モデルです。

通常のニンジャボットではノズルは170~280℃、成型テーブルは常温から100℃程度まで可変できますが、HTシリーズはノズル温度は400℃~80℃ 成型テーブルは150℃に対応します。

ニンジャボットは樹脂メーカー様などが研究目的でご購入いただくケースが多々あり、そういったケースでは3Dプリンターの一般的な用途である設計試作や治具の作成、小ロットの部品作成などのような用途とは少し違い、様々な樹脂の可能性そのものを研究する目的でご使用頂いております。

樹脂を溶解するノズルや成型テーブルの可変温度が高いと研究で扱える樹脂の種類や可能性が広がるため、できるだけ高い温度にまで対応できるようにしてほしいとのユーザー様からの要望を受けて開発いたしました。

また、低い温度で溶ける樹脂を使いたいという要望も同様にいただくため低温域は100℃を下回る80℃から稼働できるようにしました。

ノズルと成型テーブルの温度の可変温度以外は通常のモデルと資本性能は同じです。

詳しくはNJB-200HT製品ページをご覧ください。